不動産コラム

背景
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②「市街化区域 」「市街化調整区域」「非線引き区域」について

今回のコラムは前回の続きとなります!

前回のコラムをチェック☑していないという方は前回のコラム「①都市計画区域・区域外について」をご覧いただけましたらよりわかりやすいかと思いますので是非ご覧ください!

前回のコラムでは都市計画区域・区域外についてお話させて頂きましたが、今回は「市街化区域」、「市街化調整区域」、「非線引き区域」に焦点を当てて解説させて頂きます。

1.市街化区域

・市街化区域とは??

市街化区域とは「現在、市街地を形成している区域」「近い将来(おおむね10年以内)に優先的に市街化を計画される区域」のことです。

市街化区域には用途地域(計画的な市街地の形成のために設定される13種に分類された用途に応じたエリア)が設定されます。
用途地域については次回のコラムで詳細をご説明させて頂きますのでそちらもご覧いただけましたら幸いです!

 

・市街化区域のメリットは?

実際に不動産をお探しの方にとって、購入するエリアとして市街化区域を候補として選ぶことが多いです!

その理由について解説させて頂きます!

メリット1 誰でも建築が可能!

・市街化区域とは?でご説明させて頂いた通り、市街化区域とは「現在、市街地を形成している区域」や「近い将来(おおむね10年以内)に優先的に市街化を計画される区域」を指します。

そのため、誰でもマイホームを建築することが可能です!

また、市街化区域においては一定の規模を除き「特別な許可申請」の必要がないため、建築物に対する制限が少ないことがメリットの一つです!

メリット2 生活環境◎

市街化区域は便利な市街地の形成を目的として設定される区域ですので全体的に利便性が高いです。

また、ガス・水道・下水道などのインフラも優先的に整備されるエリアであり、生活する環境として良好な場合が多いです!

その他にも商業施設、コンビニ、病院、学校なども集約され、駅や主要道路などへのアクセスも考えられるため生活しやすい環境となっています。

メリット3 売却しやすい

すでに都市が形成されている市街化区域は一般的に需要が高い傾向にあります。

もちろん一概に「市街化区域だから売却できる」というわけではありませんが、比較的需要が多くなる傾向にあることは間違いないので売却はしやすいと言えるでしょう。

・市街化区域のデメリット

では、逆に市街化区域のデメリットはあるのでしょうか??

実は一見いいところ尽くしに見える市街化区域にもデメリットは存在します!

デメリット1 用途地域の制限がかかる場合がある

次回のコラムでご説明させて頂く用途地域ですが、実は用途地域の種類によっては建築可能な建物の種類や規模が制限される場合があります。

特に用途地域によっては3階建ての建物が建てられないといった場合もありますので、大きな建物を建てたい方は市街化区域だからといって安易に土地の購入を進めるのはNGです!

デメリット2 都市計画税の存在

不動産を所有している皆様に毎年5月頃届く固定資産税の納付書。
よく見ると固定資産税のほかに「都市計画税」がかかっていませんか??

都市計画税は、都市計画事業(道路を広くするなどの公共事業)などを行うために充てられる税金です。

行政にもよりますが、市街化区域に不動産を持つ皆様には固定資産税と一緒に都市計画税が徴収されているケースが多いです。

そのため毎年の税負担が増えることはデメリットになるでしょう。

2.市街化調整区域

・市街化調整区域とは??

先ほど「市街化区域」についてご説明させて頂きました。

市街化調整区域は市街化区域と比べて、逆に「市街化を抑制する区域」となり、用途地域の定めは基本的にありません。

市街化調整区域は、開発を抑制して我が国の農地・農業を大切にしていこう!という区域となります。

・市街化調整区域のメリット

市街化を抑制するために設定される市街化調整区域ですが、土地の購入を希望される方にとってのメリットもあります!

メリット1 安く土地が購入できる

市街化区域は誰でも建築ができることがメリットでしたが、市街化調整区域には建築制限がかけられていることが多いです。

ですが、その分資産価値が低く見られるため近いエリアの市街化区域と比べて安く購入できるケースがあります!

その分、建物に力を入れて予算を割くことができるのでメリットの一つとなることは間違いないでしょう。

メリット2 税金が安い

メリット1でお話した通り、資産価値が低く見られるため税金が安くなります!

また、市街化区域のデメリットで挙げた「都市計画税」の負担がないため、長い目で見ると税金の面でお得と言えます!

メリット3 騒音や交通量のリスクが少ない

市街化調整区域は「市街化を抑制する」という名目の通り郊外に位置する場合が多く、人の往来が少ないケースがほとんどです。

そのため、「静かな生活を送りたい」「安心の環境で子育てをしたい」という様々な希望に沿った生活を送れます。

・市街化調整区域のデメリット

市街化調整区域の不動産を購入する際はデメリットにも要注意です。

一生に一度の買い物となる場合が多い不動産。しっかりこちらもチェックしていただけたら幸いです!

デメリット1 建築時の制限がかかる

市街化調整区域内では開発行為に制限がかかるため、様々な要件をクリアした場所にしか建築ができないケースが多いです。

この要件は自治体によって異なってくるため、慎重に検討する必要があります!

デメリット2 インフラに注意

先ほどの市街化区域内と違って、市街化調整区域ではガス・水道・下水道などのインフラ関係が充実していないことも多々あります。

市街化を抑制するエリアのため、インフラ関係の整備なども後回しされるケースが多く、「下水道=浄化槽」、「ガス=プロパン」、「上水道=井戸」のような場所もまだまだあります。

各インフラに対する維持費や設置の費用などもしっかりと確認して吟味する必要があります。

デメリット3 融資が難しい場合も…

メリットの一つでもあった、資産性の低さは裏を返せば担保価値の低さにもつながります。

金融機関によってはその担保価値の低さから市街化調整区域の融資自体を受け付けていない、限度額や借入期間を制限されるといったケースもあります。

デメリット4 売却が難しい

このデメリット4 売却が難しいということが市街化調整区域に不動産を購入する最大のデメリットとなると考えています。

今回のコラムで最も重要な部分ですので少し詳細に内容をご説明させて頂きます。

実際に弊社にも「市街化調整区域の物件に買い手が付かない」や「交通の便が悪く管理が大変」といったお悩みの声が届きます。

市街化調整区域の不動産が一般的に売却しにくいと言われる理由が以下となります。

・資産価値が上がる可能性が低い

市街化調整区域は市街化を抑制する区域とご説明させて頂きましたが、そのことは将来的な開発が行われない(可能性が極めて低い)ということになります。

そのため、急激な地価の上昇や需要の急回復が望めないため、購入したいという顧客が市街化区域と比較して少ないことが売却が難しい一つの理由になっています。

・賃貸需要が少なく投資用に向かない

近年、不動産投資家と言われる、「戸建てを購入しリフォーム。それを運用し利益を得る。」という投資が流行しています。

不動産は自分が住むために買うという層だけではなく、人に貸すために買うという層にも売却ができるケースも多いです。

ですが、市街化調整区域は人の往来が少なく賃貸には向かないため、根本的に投資に向きません。

本来であれば「自分で住みたい」「人に貸したい」という様々なお客様から検討してもらえるのですが、市街化調整区域においては検討してもらえるお客様の数が減ることも売却を難しくする理由となっています。

・補助金などの優遇措置が受けられない

国や自治体としては市街化調整区域は建物を作ることを抑制したい区域です。

そのため、建築への補助金や税優遇の対象にならない可能性も考えられます。

土地を安く購入できても、建築費用が余計に掛かる可能性がある以上、お客様の検討から外れてしまう可能性も増えます。

・次の建築の制限が厳しくクリアできる顧客が見つからない

市街化調整区域の売買を最も難しくしているのは特にこちらの理由だと考えています。

一例ではありますが、川越市の市街化調整区域における建築制限の例を見てみましょう。

川越市が市街化調整区域に住宅を建築可能とする際に指定する条件の例

市街化調整区域では原則として宅地の造成及び建物の建築は出来ません。 ただし、当該市街化調整区域(隣接市町村の市街化調整区域を含む)に 20 年以上居住する 6 親等以内の親族がいらっしゃる方で、当該物件をお求めになるご本人が 現在居住する家が自己所有で無い方は、自己の居住の用に供する建築物を建築する目的で 開発許可(都市計画法第 34 条第 12 号該当による)を取得できる可能性があります。

上記の内容を端的にご説明すると、川越市、または川越市に隣接している市区町村の市街化調整区域に6親等以内(はとこより血縁の近い人物)である親戚が20年以上居住しており、現在マイホームを持っていな方が建築許可を取得できる可能性があるという事になります。

市街化調整区域ですべてこの基準が適用されるわけではもちろんありませんが、このような厳しい制限が付加されるケースもあります!

そのため市街化調整区域の不動産を売却する際には、その不動産が存する行政への調査が必須となり、調査次第では大きな価格の減少がもたらされるケースも何例も見てきました・・・

皆様の後悔しない不動産の購入・売却のために一度ご相談を頂くことを強くお勧めいたします!

3.非線引き区域

最後に非線引き区域のご説明をさせて頂きます!

・非線引き区域とは??

非線引き区域とは先ほどまでに出てきた、「市街化調整区域」にも「市街化調整区域」でもない区域となります。

非線引き区域は地方の小都市で多く見られる区域です。

なぜかというと、地方の小都市では住環境と自然が混在している場合が多く、明確な線引きが難しいからです!

そのため、明確に線引きを行わず保留とされている区域が「非線引き区域」となります。

・非線引き区域のメリット

メリット1 開発や建築に対する制限が緩い

非線引き区域には市街化区域のように用途地域や市街化調整区域のような制限がない場合が多いため、建築のしやすいエリアといえます。

ただし、行政によっては非線引き区域においても用途地域や制限を設けている自治体もあるので注意が必要です!

メリット2 開発の可能性がある

非線引き区域のメリットとして制限が緩いとお伝えさせて頂きました。

このことに付随して、大きな商業施設が完成し、利便性が上がる場合があります!

コストコやイオンモールなどの大きな商業施設が郊外にあるのは実はこのような理由が関わっているんです!

・非線引き区域のデメリット

デメリット1 開発の可能性がある

先ほどのメリット2で述べさせていただいた「開発の可能性がある」、ですが実はデメリットとなる可能性も秘めています。

建築への制限が緩いため、突然近所に高層のビルやマンションが建つ可能性も十分にあるのです。

そのため、状況によっては日照、眺望が阻害される可能性もあります。

デメリット2 インフラの整備が追い付いていない場合がある

非線引き区域は場所によってはインフラの整備が追い付いていないケースも多く見られます。

そのため、住居の建築に際しては維持費や設置費用などの諸費用がかかる場合もありますので注意が必要です。

4.まとめ

今回のコラムでは「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つに分けてその内容とメリット・デメリットをお話させて頂きました!

市街化区域や非線引き区域においては比較的に新たな建築の難易度が低いことをご説明させて頂きました!

それと比較して、市街化調整区域はかなり厳しい制限を受ける可能性があることも同時にお分かりいただけたかと思います…

実際に弊社では市街化調整区域の物件も多くお取り扱いさせて頂いておりますが、お客様の中には「大手の不動産会社には売れないと言われて…」「今まで販売活動をしてきたけど全く売却できる気がしない…」などのご相談を受けております。

市街化調整区域だからといって売却ができないわけではありません!

しっかりとした知識を持ったスタッフが皆様のお役に立てるよう一緒に販売の作戦を考えてまいりますので是非ご相談ください!

 

次回は市街化区域で少し触れさせていただきました「用途地域について」まとめさせていただきます!

是非ともご覧ください!