②借地権を売買する際の注意点
今回も本コラムをご覧いただき有難うございます!
本日のテーマは「借地権を売買する際の注意点」についてです!
前回の「借地権について」のコラムで借地権の歴史や種類についてご説明させて頂きました。
前回のコラムをまだ見られてないという方は併せてそちらもご確認いただけましたら幸いです!
今回は借地権メリット・デメリットや売買の際に起きうるトラブルをご説明させて頂きます!
1.借地権付き建物のメリット・デメリット
借地権を売買する際の注意点をご説明する前に借地権のメリット・デメリットをご説明させて頂きます。
一般的に借地権というものは「借地権付き建物」を意味します。
借地の上に建っている建物ということです!
今回は借地権付き建物のメリット・デメリットをご説明させて頂きます!
借地権付き建物のメリット
1. 土地の税金がかからない
借地権付き建物には、土地を所有権で所有すると負担が発生する「固定資産税」,「都市計画税」がかかりません。
これらの税金は場所により価格に大きな差が生まれるものの、所有している限りは必ず発生する税金となります。
そのため、これらの税金が高くなる都市部においては大きなメリットとなります。
2. 価格が安い
借地権付き建物は、その名の通り借地の上に建っているため土地を所有していません。
そのため売買価格において、所有権の物件と比較して安くなるためメリットの一つとなります。
3. 長く土地を借りられる
前回のコラムでご説明させて頂きましたが、借地権は定期借地権等の場合を除いて更新が可能です。
地主に正当な事由がない限りは更新が可能なため、事実上「半永久的に土地を借りることが可能」となります。
借地権付き建物のデメリット
1. 地代がかかる
借地権には地代が毎月発生します。土地にかかる税金がないことはメリットですが、地代が毎月かかることはやはりデメリットです。
2. 融資が受けづらい
不動産の購入にあたっては、銀行から融資を受けるケースが多く見られます。
その場合は、土地や建物を担保にして融資を受けるのですが、土地が担保に入れられないため、融資が受けづらいというデメリットがあります。
3. 自由に扱えない
やはり、借地は読んで字のごとく「借りている土地」であるため、売却や譲渡・改築や増築には地主の許可が必要な場合があります。
所有権であればこのようなことは起こりませんが、借地権には地主との利害関係が出てくるため大きなデメリットです。
4. 更新料が発生する可能性がある
借地権付き建物の更新には更新料が発生する場合があります。
本来は借地権の更新に法的な支払義務はありません。ただし、地主と借主の合意などがあれば、賃貸借契約などと同様に、更新料の支払いが発生します。
更新料の支払いを拒否した場合、解除や延滞金などのリスクもありデメリットの一つです。
5. 売却の際に金額が安くなる
今まで挙げてきたデメリットを総合し、借地権付き建物はやはり敬遠されがちな物件です。
・地代を払い続ける
・自由な扱いが難しい
・建て替えなどにお金がかかる
このようなデメリットがあるため、マイホームを探す買い手側も敬遠しがちです。
以上のことから借地権付き建物の売買は金額が安くなります。
2. 借地権付き建物によくあるトラブル
借地権付き建物で生活するうえで、地主とのトラブルが発生する可能性もあります。
この章ではよくあるトラブルについてご説明させて頂きます!
1. 立ち退きを要求される
地主さんから急に「来年出ていってほしい」と言われたらたまらないですよね、、、
このようなトラブルの事例は実は多く散見されています。
結論から申し上げると、
借地人は、地主から「立ち退き」を要求されることがありますが、それに応じる必要があるケースはほとんどありません。
前回のコラムでご説明させて頂いた借地借家法において、立ち退きが認められるには「正当な事由」が必要とされているからです。
それでは、正当な事由とはいったいどういった内容なのでしょうか?
・建物が老朽化している
・地主がその土地以外に住む場所がない
・敷地の有効活用のために、立ち退き料の支払いがあり退去を要請された
このような事由が正当な事由に該当します。
地主から立ち退きを要求された場合はまず「理由の確認」が重要です!!
2. 理不尽な更新料の請求
借地権の更新タイミングで、地主から高額な更新料の支払いを要求されるというのもよくあるトラブルです。
このようなトラブルに対しては、まず「土地の賃貸借契約書」を確認することが重要です。
土地の賃貸借契約書に「更新料の支払いの有無や金額」についての記載がある際には、その内容が優先されます。
つまり土地の賃貸借契約書に「更新料の支払いの有無や金額」記載がなければ、更新料を支払いをせずとも契約は問題なく更新されます。
ただ、地主との関係性が悪化する可能性があるのであれば、お互いに話し合いをすることをおすすめします。
更新料の相場は法律で明記されていませんが、借地権価格の「5~10%程度」と言われています。
更新料=借地権価格(更地価格×借地権割合)×5~10%と計算されます。
・借地権価格とは 全国地価マップより画像を使用しております。
上の画像は「路線価」と「借地権割合」の表です。
上記の画像では、路線価が「6710A」となっています。Aの場合は土地の借地権割合は「90%」となります。
路線価が「6710A」の土地を100㎡借りている場合、借地権価格は、路線価:「671万円/㎡」×地積:100㎡×借地権割合:90%=603,900,000円となります。
更新料の相場は5~10%ですので「30,195,000円~60,390,000円」となります。
3.更新の拒否
借地権の期間満了により、更新のタイミングで、土地の返還を求められるケースがあります。
ただし、借地人は即座にその要求に応じる必要はありません!
なぜなら、借地人が契約更新を行えば、延長して土地を借りられるためです。
1. 立ち退き要求と同じように、地主は「正当事由なし」には契約更新を拒否することができません。
ただし、借地権の種類が定期借地権であった場合は契約の更新は出来ません。
4. 地代を増額された
地主から突然、地代を増額されたら生活に大きな影響を与えることは間違いないですよね?
地代の増額についても1.立ち退きの要求,3.更新の拒否と同じように正当な事由が必要です。
地代増額の正当事由とは以下のような内容がメインとなります。
・土地の固定資産税・都市計画税に増減があった場合
・地価の上昇、低下があった場合
・近隣の土地と比較して地代が不相当であると認められる場合
以上のような場合は増額が認められます。
ただし、利益を増やしたい!、お金に困ってる、、、などの地主都合での増額要求に応じる必要はありません。
5.譲渡承諾料の不当要求
借地権を第三者に譲渡(名義変更)を行う場合、借地人から地主へ譲渡承諾料の支払いを行うことが一般的です。
譲渡承諾料も法で定められている内容ではありませんが、「借地権価格の10%」が相場といわれています。
支払いが一般的な譲渡承諾料ですが、相続における名義変更時には譲渡には該当しません。
そのため、譲渡承諾料を支払わなくても登記手続きを行うことで、借地権の主張ができます。
相続時に譲渡承諾料を請求された場合には、一度相談をしてみましょう。
3. 借地権を売買する方法
ここまで、借地権のメリット・デメリットや想定されるトラブルをお話してきましたが、実際に売却する方法はあるのでしょうか?
借地権の売却にはいくつかのパターンが存在します。
1. 借地権を地主へ売却する
借地権を取り戻すということは地主にとって底地権と借地権の両方を所有するということになります。
つまり、土地の資産価値が上がるため、地主にとってもメリットのある売却方法です。そのため、売却が簡単に決まることもあります。
この方法では、借地権のみの売却か建物まで一緒に売却するかを選択することが可能です。
ただし、借地権のみを売却する場合は更地にすることが必要となるため、建物の解体費用が発生する点には要注意です。
2. 借地権を第三者へ売却する
借地権は地主のみでなく、地主の許可があれば第三者にも売却できます。
その際は、先ほどもお話した譲渡承諾料の支払いが一般的です。
借地権は個人や不動産会社に売却が可能です。
譲渡承諾料を支払ったうえでも地主への売却より高く売却できることもあるため、一度相談してみましょう。
3. 借地権・底地権を第三者へ売却する
地主が所有する底地権と借主が所有する借地権を合わせ、所有権にした状態で第三者に売ることも可能です。
このような売却方法は不動産用語で「底借同時売買」と呼ばれます。
この売却方法は地主との交渉が必須です。所有権となると土地の資産価値が高くなるため、売れやすくなる可能性があります。
実際に弊社でもこの売却方法での実績があるため、お困りの方はぜひご相談ください。
4. まとめ
今回は借地権について、メリット・デメリット、トラブルの例、売却の方法についてご説明させて頂きましたがいかがでしたか?
たしかに、税金面で安くなることや、価格が安いなどのメリットはありますが、実際にトラブルなども見聞きします。
このような現状から、借地権付きの不動産は買い手からの人気が低く、価格が安くなる、最悪の場合売れない可能性もあります。
また、相続された物件が借地権付きの建物で、解体費用が払えないため使用していないが地代を払い続けているといった相談も多く寄せられます。
借地権付きの建物にお困りの方は是非一度ご相談ください!
様々な売却方法からお客様にあった方法をご提案させて頂きます。