土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域について
今回も本コラムをご覧いただき有難うございます!
本日のテーマは「土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域」についてです!
聞きなじみのない言葉かと思いますが、不動産を売買するうえでかなり重要なポイントとなります。
分かりやすくまとめてみましたのでご覧ください♪
土砂災害とは
土砂災害とは、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)・土石流・地すべりを発生原因として生じる被害のことです。
土砂災害の多くは大雨などが引き金で発生しますが、土砂災害の発生自体は、
雨量だけでなく現地の地形・地質、土地利用形態などにより左右されるため、
発生時期を正確に予測することは大変困難です。
そのため、各自治体では、土砂災害危険箇所図や
指定された土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域をインターネットで公表しています。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域についてまとめました。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは?
土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)
土砂災害が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、
土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域とされています。
こんな場所が区域指定の対象になります。
土石流
土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域
地すべり
・地すべり区域
・地すべり区域下端から、地すべり地塊の長さに相当する距離(250mを越える場合は250m)の範囲内の区域
急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)
・傾斜・度が30度以上で高さが5m以上の区域
・急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
・急傾斜地の下端から急傾斜地の高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは?
土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)
土砂災害が発生した場合に、建築物の損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域
(土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命または身体に著しい危害を生ずるおそれのある損壊を生ずることなく耐えることのできる力の大きさを上回る区域)
警戒区域・特別警戒区域の指定範囲(イメージ)
警戒区域・特別警戒区域の指定範囲(急傾斜地の崩壊の場合)
区域に指定されると
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されると、土砂災害防止法にもとづき
・宅地建物取引業者は、当該宅地または建物の売買等にあたり、警戒区域内である旨について重要事項説明を行うこと
・要配慮者利用施設の管理者等は、避難確保計画を作成し、その計画に基づいて避難訓練を実施すること
等が義務づけられます。
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されると、土砂災害防止法にもとづき
・特定の開発行為に対する許可制
・建築物の構造規制 等が行われます。
土砂災害区域はどうすれば確認できるのか
ハザードマップで確認する
土砂災害警戒区域との判断がされると、災害情報の伝達や避難が早くでき、
土砂災害から地域住民の生命を守ることができるようハザードマップに追加され、
住民に通知するなど警戒避難態勢の整備が図られます。
国土交通省の土砂災害ハザードマップの作成指針には、
土砂災害ハザードマップには当該地区の土砂災害発生原因となる自然災害の種類に加え、
次のような内容を記載するよう明記されています。
・土砂災害に関する情報の伝達方法
・急傾斜地の崩壊等のおそれがある場合の避難地に関する事項(避難場所に関する情報)
・その他警戒区域における円滑な警戒避難を確保するうえで必要な事項
インターネットから確認する
土砂災害警戒区域に指定されているかどうかは、
その土地に標識などは設置されないため一見わからない場合が多いですが、図面により調べることが可能です。
図面は、インターネットや市役所などで閲覧することができます。
重要事項説明を行うことが義務づけられている
新築を建てようと検討している土地が土砂災害警戒区域の対象かどうかについては
インターネットから調べることもできますが、不動産取引において、
宅地建物取引会社は対象物件が土砂災害警戒区域内であることを記載した重要事項説明書を交付して、
説明を行わなければいけないという義務があります。
事前の説明で確認しておくことはもちろん、もし自身が住宅を売買する際にも説明が必要となるため覚えておきましょう。
土砂災害警戒区域における新築住宅を建てる際の注意点
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)では、危険の周知や警戒避難態勢の整備について求められますが、
建物の仕様や建築に対する規制は特にありません。
しかし、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)で住宅を新築する場合は、
建築物の構造が土砂災害を防止・軽減するための基準を満たすものとなっているか、
建築確認申請の手続きが必要といった規制があるため注意しましょう。
土砂災害警戒区域で新築を建てる際に注意しておきたいポイントを紹介します。
国費による補償は受けられない
家は私有財産のため、国からの補償は受けられません。土砂災害の被害に遭っても、自己責任による再建が求められます。
しかし、火災保険に加入しておくことで、再建費用に充てられる可能性があります。
火災保険はプランによっては、火事だけでなく、水災や風災などの被害にも対応しており、
土砂災害による被害にも適用されることがあります。
移転勧告を受ける場合がある
土砂災害警戒区域でも調査を経て土砂災害特別警戒区域として指定された場合、移転勧告を受ける場合があります。
土砂災害特別警戒区域内の土地・建物には、開発による許可や構造の規制、
すでにある建築物には移転の勧告を行うといった規制がかかります。
土砂災害警戒区域ではそうした規制はありませんが、土砂災害特別警戒区域に指定されることで
規制の対象となるケースもあるのであらかじめ認識しておきましょう。
まとめ
今回は土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)について
解説をしていきました。
土砂災害の多くは大雨が原因とされていますが、土砂災害発生の可能性や被害の大きさは雨量だけでなく、
その土地の地形や地質、家の建て方などによっても変わってきます。
新築を検討する際は土砂災害警戒区域についてハザードマップや役所等などで確認し、安いから購入するじゃなく
安全第一を心がけて、下調べをしっかりとしたうえで土地を選ぶようにしましょう。