不動産コラム

背景
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容積率とは

今回も本コラムをご覧いただきありがとうございます!

今回のテーマは「容積率」についてです。

どれだけ大きな土地を購入したとしても、土地に対して好きなように建物の規模を決めて良いわけではありません。

周辺に住む人たちの快適さや安全を考えて、法律などでさまざまな規制が設けられています。

この記事ではそれを考える上で大事な容積率について解説していきます。

 

容積率とは何か

容積率とは、建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合をパーセントで表したものです。

その土地に、どれぐらいの大きさの建物を建てることができるのかがわかる指標となります。

用途地域というエリア分けによって容積率は異なります。

また、容積率は建築基準法第52条で、都市計画区域および準都市計画区域内において定められています。

容積率の大きな役割は地域の過密化を防ぐことにあります。

もし容積率の限度が定められていなければ、好きなだけ大きな建築物を建てることが可能になってしまいます。

建物が大きくなるということは、単純にそこにたくさんの人が住めるということになります。

そうして人口が増えすぎると、どんなことが起こるでしょうか。

電力消費や下水処理が追い付かなくなったり、交通渋滞が起こるなどの問題が発生し、

地域の住みやすさに影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。地域の過密化防止の他にも、防火対策、

風通しや日当たりの確保、景観を守る役割もあります。

 

容積率とは建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合

 

具体的には、以下の計算式を用いて求めます。

● 容積率 = 延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100(%)

延べ床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積です。

たとえば、以下の条件で容積率を計算してみましょう。

  • 階数:2階建て
  • 各階の床面積:1階60㎡、2階30㎡
  • 敷地面積:180㎡

容積率の求め方は以下の通りです。

  • 延べ床面積:60㎡ + 30㎡ = 90㎡
  • 容積率:90㎡ ÷ 180㎡ × 100 = 50%

また、住宅を設計する際は、「容積率 × 敷地面積」で延べ床面積を求める場面がよくあります。

たとえば、敷地面積が150㎡で容積率が150%の場合、建物の延べ床面積は「150% × 150㎡ = 225㎡」です。

 

用途地域別の容積率について

用途地域は、都市計画に基づいて、用途に応じて分けられた13の地域のことを指します。

指定容積率は用途地域ごとに定められており、用途地域ごとの容積率は以下の表の通りです。

 

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、田園住居地域については高さ制限があるため、

容積率の制限内であっても、建物の高さは10mまたは12m以下となります。

 

基準容積率

建物を建てる敷地に面している前面道路の幅員が12m未満の場合は、前面道路の幅員に応じた容積率の規定が設けられています。

前面道路の幅員に応じた容積率は、道路の幅員に低減係数を乗じた数値です。各用途地域の低減係数は以下の表の通りになります。

一般的には、「第1種低層住居専用地域」や「第1種住居地域」など、居住系の地域の低減係数は40です。

例えば、前面道路の幅員が4mの場合、『4m(前面道路幅員)×40(低減係数)=160%(容積率)』となります。

この場合、指定容積率と基準容積率のうちのどちらか厳しい方の制限が採用されるため、

指定容積率は200%だったとしても160%の方が適用されることになります。

 

2つの道路と接している場合

角地の場合などは、敷地の2面が道路と接している状態です。複数の道路と接している場合、広い方の道路の幅員が計算の基準となります。

 

この図の場合で行くと、敷地が4mと6mの道に接しています。

先ほど説明したように、幅員の広い道路が基準になるため、基準容積率は「6m×40(低減係数)=240%」と計算します。

指定容積率は200%で、指定容積率の方が厳しい数値なので、この土地の容積率は200%となります。

 

用途地域をまたぐ場合

敷地内に用途地域の境界線がある場合は、加重平均で容積率を算出します。

それぞれの用途地域分の面積ごとに各容積率を計算し、その和を敷地全体の容積率の値とするということです。
例えば敷地面積が100㎡で2つの用途地域にまたがっており、

敷地のうちの60㎡は指定容積率100%、40㎡は指定容積率200%の場合を参考に考えてみましょう。

計算式はこのようになり、この土地の容積率は140%ということになります。

左側(60㎡)の容積率(100%×(60㎡/100㎡))+右側(40㎡)の容積率(200%(40㎡/100㎡))=60+80=140%

 

容積率の特例

 

まとめ

本コラムでは前回と今回で建ぺい率、容積率の計算方法や制限、緩和の特例について解説しました。

容積率とは、「延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100(%)」で求められる割合です。

用途地域や敷地に接する道路の幅により、容積率には上限の値が定められています。

容積率と建ぺい率はどちらも敷地に対する建物の規模を示す指標ですが、

建ぺい率は建物と周囲の間の余白を確保するための指標、容積率は建物の階数を制限するための指標という点が違いです。

なお、容積率の制限は、特定の条件を満たした場合に緩和の特例を受けられます。

土地選びやプランを決める際は、容積率の制限や特例の対象になるかを確認しておくのをお勧めします。