不動産コラム

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建ぺい率とは

今回も本コラムをご覧いただきありがとうございます!

今回のテーマは「建ぺい率」についてです。

「どんな住宅を建てるか」を考えるうえで、土地の広さに対して建築物の規模を好きに決めていいかというと、そうではありません。

施主はもとより、周辺に住む人たちの快適さや安全を考えて、法律などでさまざまな規制が設けられています。

 

建ぺい率とは

建ぺい率とは、「敷地面積(土地の面積)に対する建築面積(建物を真上からみたときの面積)の割合」のこと。

建築基準法53条で規定されている、建物の大きさを一定の割合に制限するために設けられたルールです。

土地を購入して建物を建てる場合、「建ぺい率」と「容積率」によって建物の最大サイズはあらかじめ決められているので、

自分の好きなように建てられるわけではありません。

指定された建ぺい率や容積率を超える建築物は違法建築物として罰則を受けたり、売りに出すときに悪条件になったりします。

建蔽率とは簡単にいうと、「敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のこと。計算式は次のようになります。

 

土地を無駄なくギリギリまで建物に使いたいと考える人もいるでしょうが、

建ぺい率が高すぎる家は防災や風通しの観点から望ましくないとされています。

そこで、ある程度の空地を設け、ゆとりある建物を建てるように誘導する目的で、

建築基準法によって建蔽率に制限が設けられているのです。

 

では、ここで問題です。

以下のように、二階の床面積が一階より広い建物が建つ敷地の建ぺい率は、どの部分の面積を用いて計算するでしょうか。

正解は、二階部分の床面積を用いて建ぺい率を計算します。

一階の床面積が30平方メートル、二階の床面積が60平方メートル、

敷地面積が90平方メートルであれば「60÷90×100=66.6%」と計算し、建ぺい率は66.6%です。

建ぺい率は、建物の一番広い部分の面積を敷地面積で割り算しつつ計算し、

一階部分の面積を敷地面積で割り算するわけではないため留意してください。

建物の一番広い部分の面積を「建築面積」と呼ぶため、

建ぺい率は建築面積を敷地面積で割り算しつつ計算する」などと覚えれば良いでしょう。

なお、土地などの不動産の資料を取り寄せると、「建ぺい率50%」などと記されていることがあります。

それは、その土地に建物を建てる際は、

建ぺい率がそれ以下となるように建築をしなければならないと市町村などから制限されることを意味します。

 

用途地域別の概要

建蔽率の制限は地域によってパーセンテージが異なります。

というのも、地域ごとに都市計画は異なり、そこを住宅地域にするのか、

はたまた商業地域にするのかといった使い道は各市町村により細かく分類されているためです。

その使い道は「用途地域」として「平成30年4月1日より田園住居地域が追加され、13種類」に分かれており、

それぞれ建ぺい率の制限が微妙に異なっています。ここで、住宅にかかわる用途地域について紹介します。

※用途地域の概要につきましては、弊社ホームページコラムの「13種類の用途地域」をご覧ください。

 

建ぺい率 30・40・50・60%エリア

第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域

 

建ぺい率 50・60・80%エリア

第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域

 

住宅に関連する用途地域(7種類)を例に比較。

30%から80%まで、用途地域によって建蔽率は大きく異なります。

 

建ぺい率が緩和される条件

一定の条件を満たす角地に建物を建てる際なども建ぺい率が緩和され、

建ぺい率が緩和される条件をまとめると以下のようになります。

 

なぜ建ぺい率で制限されているのか

建ぺい率によって建物の建築面積が制限されているのでしょうか?

もちろん建築主にいじわるをするためではなく、住民のことを考えてルールが決められています。

 

防火対策

地震大国である日本は、関東大震災や阪神淡路大震災のとき、火災による大きな被害に遭ってきました。

とくに都市部など人口が密集している地域では、少しでもたくさんの人が住めるように建物の距離が近く密集している状況です。

建物が密集していると、火災が起きたときに火が燃え移りやすく、逃げ道も確保できなくなります。

日本では建ぺい率によって十分な建物同士の距離をとり、万が一のときの安全性を確保しているのです。

 

通風や日当たりを確保

建ぺい率によって建物の大きさを制限することで、建物の間に適度な隙間ができるようにして、

最低限の風通しや日当たりの良さを確保しています。 風通しや日当たりの良さは暗黙のルールで確保することもできますが、

それではもし誰かひとりでもルール違反をしたときに訴えることができません。

結果として、隣人が泣き寝入りすることに。しっかりと法律によって明文化することで、平等に快適な住環境を守っています。

 

景観の美しさの基礎をつくる

建ぺい率は防火や風通し、日当たりの良さを確保すると同時に、見た目の良さを守ることに一役買っています。

例えば、建ぺい率が存在せず、みんなが土地に対してギリギリの大きさで家を建てた場合、

とても圧迫感のある街並みになってしまうのではないでしょうか。

実際は建ぺい率があることによって、ひとつの住宅だけが悪目立ちすることもなく、地域の景観の美しさが守られています。

各地方自治体が地域の都市計画を立て、その内容に沿った街づくりができるように、建ぺい率が定められています。

 

建ぺい率の調べ方

市街化区域に建物を建てる際は、市町村が制限する建ぺい率や容積率を超えないように建築をしなければなりません。

よって、市街化区域に建物を建てる際は、その土地の建ぺい率や容積率を調べる必要があります。

その土地の建ぺい率や容積率は、住所を伝えつつ市町村役場に問い合わせることによって調べることが可能です。

また、各都道府県の市区町村によっては、ホームページにて用途地域と建ぺい率、容積率が記された地図を公開しているため、

それらを活用するのも良いでしょう。

自治体が公開する地図には、建ぺい率が緩和される防火地域や準防火地域も記されている場合があります。

なお、売り出し中の土地の建ぺい率や容積率は、その物件を取り扱う不動産業者に問い合わせることによって調べることが可能です。

 

まとめ

建ぺい率についてわかりやすく説明しました。

住宅環境を守るために設けられたルールで、住宅専用の土地ほど制限が厳しくなり、商業地ほど緩和されるのが特徴です。

より穏やかな暮らしがしたいのか、便利で活気のある生活がしたいのか、

ご自身の理想の生活を意識してみると自分にあった条件がみえてきます。

また、建ぺい率と共に見聞きすることが多い建築用語に「容積率」があります。

次回のコラムではこの「容積率」についてご説明したいと思います。