不動産コラム

背景
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①契約不適合責任について

 

本ブログを閲覧頂き有難うございます!

株式会社クレザックの矢吹(やぶき)です!

本日第6回のテーマは「契約不適合責任」についてです。

不動産売買には売主が買主に対して、不備や不良などがあった場合に負う責任があります。

それが「契約不適合責任」です。あらゆる売買契約で使われるもので、

2020年4月の民法改正(債権法改正)までは、「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と呼ばれていたものです。

ここでは、不動産売買において知っておくべき「契約不適合責任」を紹介します。

このコラムが少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。

 

契約不適合責任とは

 

契約不適合責任とは、目的物の種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときに売主が負う責任のことです。

例えば、契約書で数量を10個と記載があるにも関わらず、実際には9個しか売らなかった場合は、

契約内容と数量が異なるため、売主は契約不適合責任を負うことになります。

不動産の場合、具体的には雨漏りやシロアリによる床下の腐食等が「ある」にも関わらず、

ない」ものとして売却した場合は売主が契約不適合責任を負います。

 

契約不適合責任では買主は5つの権利を持つ

契約不適合責任が発生した場合、購入した側は下記5種類の請求をする権利を認められています。

●5つの請求方法

・追完請求
・代金減額請求
・催告解除
・無催告解除
・損害賠償

1.追完請求

追完請求とは、改めて完全な給付を請求するということです。

売買契約の履行において、引き渡された売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、

買主が売主に対して、目的物の補修、代替物の引渡し又は不足分の引渡しを請求すること。

ただし、不動産は基本的に世界で同じものがない特定物ですので、数量を追加するという概念はありません。

基本的に不動産売買における追完請求とは、具体的には修補請求が該当します。 修補請求は「直してください」という請求です。

追完請求をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければなりません。

 

2.代金減額請求

代金減額請求とは、代金を後から減額するという請求です。

代金請求は、買主が先に追完請求をしたにもかかわらず、売主が修繕を行わないときや、

修繕が不可能なときに認められる請求権になります。

例えば、雨漏りが直せないものであれば、代金減額請求によって後から売買代金を減額するということです。

売却後の代金減額請求ですので、具体的には売主から売買代金の一部を返金することになります。

 

3.催告解除

催告解除とは、追完請求をしたにもかかわらず、売主がそれに応じない場合に

買主が催告(相手側に対し一定行為を請求すること)して契約解除をすることです。

不動産の場合、売買代金が減額されても、住めない、住むために多額の費用がかかる、

こうした致命的な欠陥があるケースが多いからです。そのような場合、「購入を止める」と売主側に伝えるのが催告解除です。

契約解除と同じ意味と考えていいでしょう。

 

4.無催告解除

無催告解除は、契約の目的が達成できない、つまり相手方の履行が期待できない、

履行が不可能であると考えられる場合にできる契約解除を指します。

旧民法の瑕疵担保責任でも契約の目的が達成できないときに契約解除ができました。

瑕疵担保責任でもあった契約解除を引き継いだのが無催告解除になります。

これは催告をすることなく、直ちに契約を解除することができるものとなります。

 

5.損害賠償請求

損害賠償請求とは、契約不適合によって生じた損害について金銭の支払を請求することです。

履行の追完や代金減額請求をした場合であっても、これらと併せて損害賠償請求を行うことができます。

 

契約不適合責任の期間

 

契約不適合責任では、売却後に買主が売主に対して契約不適合の内容を通知できる期間を設けることが一般的です。

従前の瑕疵担保責任においても売主が責任を負う期間を限定していましたが、

契約不適合責任においても通知期間を定めることで売主が負う責任の範囲を限定します。

通知期間は、売主が「個人」、「宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」と略)」、「宅建業者以外の事業者」で異なります。

通知期間は以下の通りです。

契約不適合責任の通知期間

 

1.個人の場合

売主が個人の場合には、特段、法令の制限がないため、買主と合意すれば

引渡しから数ヶ月」といった短い期間でも良いとされています。

 

2.不動産会社(宅地建物取引業者)の場合

売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合には、宅地建物取引業法40条の規制により、

最低でも「引渡し後2年」以上であることが必要です。

 

3.不動産会社(宅地建物取引業者)以外の事業者の場合

売主が不動産会社(宅地建物取引業者)以外の事業者で、かつ、買主が個人の場合には消費者契約法が適用されます。

数ヶ月のような短い通知期間だと、買主が不利益を被ると想定されることから、「引渡し後1年」以上とすることが安全と解されています。

売主の立場としては、通知期間は短いほど責任の範囲が狭くなるため有利です。

個人が売主の場合には、買主と協議した上で通知期間を決めることになります。

 

契約不適合責任によるトラブルが不安なら不動産会社による「買取」がおすすめ

ここまで契約不適合責任について解説してきましたが、今後相続などで実家のご売却など売主になる可能性もあるかと思います。

築年数が古い物件などは引渡し後に不具合が発生する可能性が高いので、契約不適合責任として対応を迫られる可能性が高いです。

そこでおすすめしたいのが、買取という売却方法です。

買取とは、一般的な仲介による売却とは異なり、不動産会社が直接買主になる売却方法です。

買取であれば契約不適合責任が免責とすることが一般的です。

また、不動産会社はリノベーションやリフォームをすることを前提に買取るため、古い物件や設備が壊れている場合でも売却が可能です。

買取金額は相場よりは安くなってしましますが、後々のトラブルを懸念する方は業者買取が良いでしょう。

 

まとめ

契約不適合責任についておわかりいただけたでしょうか。

売主責任は瑕疵担保責任よりも契約不適合責任の方が重くなっていますので、制度を十分に理解し、

不動産会社と協力しながら適切な売買契約書を作成していくようにしましょう。

次週は【契約不適合責任に関するトラブル事例】について書かせていただきます。

実際にあったトラブル等を基に書かせていただきますのでより分かりやすく、ご理解していただけるかと思います。

 

株式会社クレザック 矢吹 稜茉