43条但し書きについて
閲覧頂き有難うございます!!
株式会社クレザックの新(あたらし)です!
第5回のテーマは「43条但し書き」についてです。
前回の「建築基準法の道路について」でも出てこなかった道の名称ですが、皆様はご存じでしょうか??
何度も出てきますが原則として「幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していない」と建築はできません。
ですが、43条但し書きの許可を受けることにより建築できる可能性もあります!
このコラムが少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
・43条但し書きとは??
「43条但し書き許可」とは接道をしていない土地に対して、一定の基準を満たしているものについては建築審査会の同意を得ることで、例外的に建て替えが可能となる制度です。
なぜこのような制度が定められているのかというと、主な理由は救済措置です!
前回のコラムでもお話しましたが、幅員4m以上の「建築基準法上の道路」に2m以上接していることが再建築の要件です。この義務は1981年に改定された建築基準法によって定められました。そのため、それ以前の建築物の中には、現在の接道義務を果たせず、建て替えができなくなる建物(既存不適格物件)が多く存在しています。
そのような物件の救済するために設けられた制度が「43条但し書き許可」となります!
・43条但し書きと建築基準法道路はなにが違う??
前回のコラムで建築基準法の道路(以降42条道路と呼びます)について解説させて頂きましたが、43条但し書きとの違いは何なのでしょうか??
端的に申し上げると、「昭和25年以前から存在していた道路か、国道や市道などの道路か、新設した道路」かなどの種別にによって決まってきます。
「42条道路」
国道、県道、市道、都市計画法などで作られた道路”や、”位置指定道路や昭和25年11月23日(建築基準法施行日)以前からあった道路”になります。
「43条但し書き」
それ以外の道で特定行政庁による許可を得たものになります。
ただし、東京都などでは建築基準法が施工される以前からあった道路でも、「2.7m未満の道は建築基準法の道路として認定されない」などの例外もありますので注意が必要です。
・43条但し書きの許可基準について
先ほど、「但し書き許可制度が制定された理由は救済措置である」というお話をさせて頂きました。
実際にこのような救済措置に該当するような不動産は多く存在しているため、役所としてもその一つ一つに対し特例で立替許可をしていたら大変なことになります!!
そのため「包括同意基準」というものを定め、建築審査会の同意を予め得て、許可を出せるようにしております。
その包括基準というものも自治体によって違いがあるため、次の章にて事例を用いてご説明させて頂きます。
・43条但し書き制度を使える可能性がある事例(専用型・路線型)の例
1.専用型の例(横浜市)
上記の物件は建築基準法上の道路に2m以上接するという建築基準法の要件を満たしていない物件になります。
このままの状態では再建築ができません。
ここで横浜市の包括同意基準を見てみましょう。 (横浜市HPより引用しております)
包括基準3-3の2を見ると「空地幅員1.5m以上、かつ、延長20m以下」とあります。
つまり、上の図の土地は幅員が1.5m以上あり、延長も20m以下であることから但し書きの許可によって特例を受けられる可能性があります!
2.路線型の例(横須賀市)
上記の物件は建築基準法上の道路に接していないため再建築不可となっている事例です。
このままの状態では再建築ができません。
次は横須賀市を例にとって包括同意基準を見ていきます。
① 通路は、2以上の既存建築物の敷地に通ずるものであること。ただし、既存建築物の敷地に建築する場合はこの限りでない。
② 道路から建築物の敷地前面までの通路の幅員は 1.8 メートル以上であり、かつ、通路沿道の建築物の規模、用途及び敷地数等(以下「土地利用状況等」という。)を勘案し
歩行者が通行する上で十分な幅員が確保されていること。
③ 道路から建築物の敷地前面までの通路の距離が35メートル以内であること。ただし、既存建築物の敷地の場合で、土地利用状況等及び通路幅員から消火活動に支障がない場
合はこの限りでない。
④ 建築物の使用者その他の関係者が当該通路を将来にわたって通行することについて、道路から建築物の敷地前面までの通路の土地所有者及びその他権利を有する者、又は通
路の土地所有者がその通路の管理を委任した管理者から、了解が得られていること。ただし、公共用地で一般の通行の用に供している場合はこの限りでない。
⑤ 通路の幅員が4メートル未満の場合においては、通路の中心線からの水平距離2メートルの線をその通路の境界線とみなし(以下「みなし通路境界線」という。)、これを敷
地の境界線とすること。ただし、当該通路がその中心線からの水平距離2メートル未満で川、線路敷地、接道要件を満たした敷地その他これらに類するものに沿う場合におい
ては、当該川等の通路の側の境界線及びその境界線から通路の側に水平距離4メートルの線をみなし通路境界線とする。
⑥ 通路と敷地側のみなし通路境界線との間の敷地が面する部分は通路と一体の通行形態を有していること。
⑦ 通路は境界杭・舗装・縁石等により形態が明確であること。 横須賀市HPより引用
包括基準の②,③,⑤,⑦を見ていきます。
②通路の幅員が1.8m以上であること
③敷地までの通路の距離が35m以内であること
⑤セットバックをすること *セットバックについて詳しく知りたい方は第2回の「私道について」のコラムをご覧ください
⑦境界がはっきりしており舗装がされていること
このような条件を満たしていた場合、但し書き許可の特例を受けられる可能性があります!
・包括同意基準に適合しない場合はどうするの??
先ほどご説明した包括同意基準に適合しなかった場合は絶対に再建築不可でなるとは限りません!
一部の自治体では、包括同意基準に適合しない場合でも、建築審査会の同意を得る事が可能か「個別提案基準」を設けています。
以下は横浜市の基準の例になります。(横浜市HPより引用しております)
先ほど「専用型の例」で記載した横浜市の包括同意基準に適合しなかった場合でも上記の個別同意基準を最低限クリアしていれば建築審査会の判断次第では建築ができる可能性もあります!
・43条但し書きのメリット、デメリット
メリット
・相場に比べて安く購入ができる
・交通量が少ないため安心の住環境になる
デメリット
・43条但し書きは永続的な再建築を認められたものではないため将来的に再建築ができなくなる可能性がある
・金融機関からの借り入れを断られる可能性がある
・売却時に価格が安くなる、買い手が見つかりづらい
43条但し書き許可を使って建てた建築物ですが、デメリットばかりではありません。
43条但し書き許可を受けて建てたということは、交通量が少ない道路に面しているということになります。
そのため、交通量が比較的少ないケースが多く、子育てにも安心で車の騒音や排気ガスに悩まされることも少ないケースが多いです!
まとめ
ここまで述べたように、43条但し書き道路として建て替え可能にするために、厳しい国の基準や審査を通過する必要があります。
また、43条但し書きは永続的な建築を認められた道ではないため、銀行によっては住宅ローンを断られるケースも多く見られます。
そのため、建築基準法上の道路に接する不動産と比べて価値が落ちてしまうことも確かです。
ご所有の不動産が接道義務を果たしていないという理由で再建築不可かもしれないと考えられているご所有者様は一度ご相談ください!
読んで頂いた方の中で不動産に関してお困りのことがありましたなんでもご相談ください。
このコラムが少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
株式会社クレザック 新 忠興